日本人の4人に1人は酸蝕症?!酸蝕症って何??
2020.03.02
みなさん突然ですが酸蝕症って聞いた事はありますか?あまり耳にしないかもしれませんが、実は虫歯や歯周病に続いて歯を失う原因として酸蝕症があります。日本人の約26%が罹患していると言われ、最近では子どもを中心に酸蝕症になる方が増加しています。
酸蝕症とは?
酸蝕症とは、虫歯ではないのに、いつも口にしている飲食物や胃液などによる酸から歯の表面のエナメル質が溶かされてしまう病気のことをいいます。虫歯は虫歯菌が糖を分解するときに出す酸で歯が溶けますが、酸蝕症は細菌との関連はありませんので、虫歯とは異なります。
酸蝕症のメカニズム
飲食物の酸性やアルカリ性は”ph”の値で表します。pH値が小さいと酸性が強く、大きいとアルカリ性が強いと示しています。 口の中はいつもph7前後の中性で保たれています。でも、食事をしたりする度に酸性と中性を行き来しています。食事などで酸を口の中に含むと口の中は酸性に傾き、それを唾液の働きで中性に戻します。ph5.5以下になると歯の表面のエナメル質が溶け出します。例えば、炭酸飲料のコーラはph2.2、ワインはph2.3〜3.8などは酸性に傾きやすくなるので、中性に戻るのも時間がかかってしまいます。 口の中を酸性のままの状態が続くと、酸蝕症にもなりやすくなります。
酸蝕症の原因
酸が強い飲食物の摂取量が多い。
原因の中で1番多いです。清涼飲料水やスポーツドリンク、ワイン、柑橘系の果物、お酢など、酸が多い飲食物を過剰に摂取していると、酸蝕症になるリスクが高くなります。
酸性の薬の服用
ビタミン剤やアスピリンなどは酸性の薬になるので、服用が多いと酸蝕症になりやすいです。
胃酸
逆流性食道炎や摂食障害がある場合は胃酸によって歯が溶けやすくなります。
職業病
塩化水素、硝酸などを使うメッキ工場やガラス工場などの職場で働いていたりする方は、酸を含むガスを吸い込むことで酸蝕症になりやすくなります。
酸蝕症の症状
酸蝕症になると、歯の表面のエナメル質が溶けてしまうので、虫歯にもなりやすくなります。以下の症状がある場合は、注意が必要です。
- 歯がしみる。
- 歯が透けて見える。
- 歯が黄色くなる。
- 歯が細くなる。
- 歯が丸みを帯びている。
- 歯の表面がへこんでいる。
- 詰め物や被せ物が外れやすくなる。
食後の歯磨きは?
食後30分の間は歯を磨かないほうがいいという意見があります。これは、メディアで多く取り上げられているため、聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。 酸が歯に触れると、歯の表面は一時的に軟らかくなり、外からの傷害を受けやすくなります。 そのため、歯磨きの時に力を強く入れてしまうことで酸蝕症になりやすくなってしまいます。
酸蝕症になりやすい部位
虫歯は汚れが溜まりやすい奥歯の咬む面や歯と歯の間などがなりやすいですが、酸蝕症は前歯がなりやすいです。特に下顎の歯の方が酸が溶けた唾液が歯に接触することによってなりやすくなっています。 下顎の前歯には要注意です。
酸蝕症の予防法
酸が多い飲食物の摂取の回数を少なくする
酸からの影響を少なくするために、ダラダラ食べたり、ちょこちょこ食べたり飲んだりしないように注意しましょう。なるべく長時間口の中に溜めないようにしましょう。
酸が多い飲食物を口にした後は、水でうがいをする。
酸が多い飲食物を口にすると、口の中が酸性に傾き、歯が溶け出すので、うがいをして中和しましょう。
酸性のものを口に接触した直後は歯磨きをしない。
酸が口に接触すると、歯の表面が軟らかくなって傷つきやすいので、食後は30分後に歯磨きをするか、水でうがいした後に歯磨きをしましょう。
フッ素を塗る。
フッ素入り歯磨き粉や、フッ素ジェルを使用すると効果的です。 また、以前の記事で紹介したMIペースト(ミネラルパック)も有効です。
関連ブログ『子どものむし歯予防の新常識?!MIペーストとは?』
寝る前の飲食を控える。
酸性に傾いて脱灰している口の中を唾液の働きで中性に戻すことを再石灰化と言いますが、寝ている間は唾液の分泌が少なくなり、再石灰化が出来なくなります。 再石灰化ができないまま、脱灰の状態が続くと虫歯も同じですが、酸蝕症にもなりやすくなるので、注意が必要です。
唾液の働きを強くする。
唾液には緩衝能という、口の中を中性に保とうとする働きがあります。その働きを強くすることで、再石灰化を促すことができます。 糖が入っていないキシリトールなどのガムなどを噛むことで、唾液の分泌を増やしましょう。
酸蝕症という病気をお分かりいただけましたか? 酸が多い物を飲食してはいけないわけでなく、酸蝕症という病気があることを知っていただいて、早めの対処したり、予防していけると、これからの歯の健康にもつながると思います。 少しでも長く歯を残せるように、意識していけたら良いと思います。
歯の予防治療をお考えの方は、当院の『予防治療』ページをご覧ください。
福岡市南区の歯医者 パセオ野間大池歯科
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パセオ野間大池