歯周病は自分で気付きにくい?!
2020.09.15
歯を失う原因で1番多いのが、歯周病であることをみなさんはご存知ですか。日本では 成人の約8割の方が歯周病だと言われており、かなり身近に潜む病気なのです。歯周病は初期の段階で痛みや腫れなどの自覚症状が少なく、ご自身で気がついたときにはある程度進行してしまっていることがほとんどです。出来るだけ早く歯周病に気付き、改善していくことで歯の健康を保つことができます。
歯周病のセルフチェック
このような症状はありませんか?
① 歯磨きの時に歯茎から血が出てくる
② 歯茎が赤くなって腫れている
③ 口臭が気になる
④ 歯と歯の間が広くなり、物が挟まりやすくなった
⑤ 歯が伸びてきたように見える
⑥ 冷たい物や熱い物がしみる
⑦ 歯茎がむずがゆい
⑧ 朝起きた時、口の中がネバネバする
⑨ 歯がグラグラしている
⑩ 歯茎から膿がでたことがある
⑪ 硬いものを噛むと痛い
⑫ 歯が浮いた感じがする
①②に当てはまる方は歯周病の初期段階である可能性があります。歯科医院で検査をしてもらい歯周病の予防をしていきましょう。
③〜⑫に当てはまる方は歯周病が進行している可能性があります。手遅れになる前に歯科医院での治療を行う必要があります。
歯周病の症状
歯周病の初期症状
健康的な歯茎はピンク色で引き締まっていますが、歯周病の初期段階では歯茎が赤みを帯びて腫れていることがあります。また、歯磨きをしたときなどに歯茎からの出血があります。この状態のことを歯肉炎と呼びます。
歯肉炎から進行すると
歯肉炎からさらに炎症が拡大して歯周炎という状態になると、歯と歯茎の付着が破壊されて結果として歯周ポケットと言われる歯と歯茎の境目の部分に3mm以上の深い溝ができます。正常な歯周ポケットの深さは3mm以内であり、この深さであれば歯ブラシで汚れを落とすことができます。しかし、歯周ポケットが3mm以上になってしまうとご自身の歯ブラシだけでは汚れを落とすことが困難になります。
さらに進行すると…
さらに炎症が進むと歯を支える歯槽骨の吸収が顕著になり、歯が揺れたり病的に移動することがあります。また噛むと痛い、歯茎から膿が出てくる、口臭がするといった症状が出てきます。
歯周病の原因
歯周病の原因はプラークと呼ばれる細菌の塊です。この細菌たちとご自身の免疫細胞が常に戦っている状況であり、それぞれから出されるタンパク質(サイトカイン)の働きによって歯を支える骨が溶かされてしまいます。さらに歯並びや不適合な被せものなどのお口の中の状況であったり、喫煙やストレス、食生活の乱れなどの生活習慣が影響して悪化していく多因子疾患です。
歯周病の治療
歯周病治療の第一は”原因の除去”です。この段階の治療を歯周基本治療と呼び、歯周病の原因となるプラークを取り除き、再び付着しないようにコントロール(プラークコントロール)していきます。具体的には歯石取りと歯磨きの練習です。歯科医院での歯石取りだけでは歯周病は改善しません。歯科衛生士と一緒に歯磨きの練習をさせていただき、毎日のお家でのセルフケアの質を高めてもらい、プラークが付着しない習慣を身につけていただくことが重要です。この歯周基本治療は歯周病の程度に関わらず、全員に必ず行っていきます。
歯周病の第二の治療は”歯を支える組織の再生”です。歯周基本治療では改善が見られない、歯周病が中等度から重度の方に行う治療で、歯周外科治療と呼ばれます。その中には歯周組織再生療法と呼ばれる失われた歯の周りの組織の再生を図る治療法も含まれます。
歯周組織再生療法
歯周病の進行によって破壊された歯を支えている組織は歯周基本治療では回復させることは出来ません。そこで、破壊されてしまった組織を再生させるために行う治療法が歯周組織再生療法です。エムドゲインという歯周組織の再生に有効だと考えられているタンパク質を含んだゲル状の薬剤を歯の根っこの表面に塗る方法や、リグロスと呼ばれる細胞を増やす成長因子を主成分とした歯周組織再生医薬品を用いる方法などがあります。すべてのケースでこれらの方法ができるわけではなく、歯周病の検査を行い適切な方法を選択することが重要です。
費用
当院では歯周外科・歯周組織再生療法の治療は、保険適応外であり50,000円~/1歯となっております。
適応となる症例
すべてのケースで歯周組織再生療法が適応となるわけではありません。歯を支えている骨が部分的に溶かされた状態、すなわち垂直的な骨吸収の場合歯周組織再生療法の適応となります。歯の周りの骨が全体的に溶かされている場合(水平的骨吸収)は薬剤がその場に留まることができないため適応とはなりません。
歯周病の管理
歯周基本治療や歯周外科治療により歯周病が改善した場合でも、そこで治療が終わりというわけではなく、改善した状態を維持していくことが大切です。歯周病は生活習慣病という側面が強いのでご自身の日々のセルフケアが重要であり、定期的にメンテナンスに通っていただき状態を観察・維持していきます。
福岡市南区の歯医者 パセオ野間大池歯科
福岡県福岡市南区柳河内1丁目2-2
パセオ野間大池