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その他

Tooth Wearって?摩耗症とアブフラクションについて

2020.03.23

その他

前回はTooth Wearの咬耗症についてお話ししました。
今回は、磨耗症(まもうしょう)とアブフラクションについてお話し致します。

磨耗症

歯と歯の接触以外で歯が削れる症状のことを言います。
これは職業と関係している場合があります、例えば、ガラス職人や吹奏楽の演奏者などは工具や器具等が頻繁に歯と擦れてしまい歯が削れてしまいます。
また、職業以外の原因では歯ブラシによって歯が削られる場合もこれに当てはまります。この歯ブラシにより起こる磨耗症は、犬歯や犬歯の後ろにある小臼歯の部位にみられ、歯と歯ぐきの境目のエナメル質が削られている状態の事が多いです。
この歯と歯ぐきの境目が、くさび状に削られる事からこの病態をくさび状欠損(くさびじょうけっそん)と言います。

 

原因

職業的要因

大工さんや家具職人のように釘を歯にはさんで仕事をする。ガラス職人のように工具が歯に当たる。長年、習慣的に歯以外のものと歯が接触すると歯が削れる原因となります。一種の職業病といえるでしょう。

生活習慣

パイプの使用や間違った爪楊枝の使い方は、歯がすれて歯が削れてしまう原因となります。

ブラッシングによるもの

①歯みがき粉

歯みがき粉の中には研磨剤という歯を磨くための小さい粒子が入っており、この粒子の大きさは用途によりさまざまです。
タバコのヤニや着色を落とす歯みがき粉には、粗い研磨剤が入っているものが多いです。当然ながら長期的な研磨剤の使用は、ヤニや着色を削り落とすだけでなく歯の表面を覆うエナメル質を徐々に削り落としてしまいます。

②歯ブラシの持ち方

磨耗症のある患者さんの中には、正しい歯ブラシの持ち方をご存知ない方が多くいらっしゃいます。歯ブラシをグー持ちで持って歯を磨くと無駄に大きな力が歯にかかってしまいます。正しい持ち方をしてブラッシングすることが歯の負担を和らげます。

③歯ブラシの硬さ

何気なく選んでいる歯ブラシの硬さも磨耗症の原因となりえます。
硬いスポンジでガラスのコップをゴシゴシ洗うとコップに細かなキズが入りますよね。長期的に硬い歯ブラシを使えばそれと同じ事が歯にも起こりうるのです。

④歯磨きの力加減

一生懸命に歯磨きをしているとついつい力が入ってしまいますが、やみくもに力を入れて磨けばよいというわけではありません。重要なのは歯ブラシの当て方。力を入れすぎていると、エナメル質が削られているだけでなく歯ぐきも削ってしまう原因になってしまいます。

 

症状

エナメル質の削られる程度により症状・重症度は変わります。

軽度のものであれば、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。

知覚過敏

エナメル質が削られると、エナメル質の下にある象牙質が露出してきます。この象牙質には、象牙細管(ぞうげさいかん)という歯の神経につながる穴があり、そこに冷たいもの、熱いものや歯ブラシの毛先が当たると「しみる」や「痛い」といった知覚過敏の症状が出てきます。

歯髄炎

丈夫なエナメル質が削られてエナメル質よりもずいぶんと柔らかい象牙質が露出してきます。摩耗症により更に歯が削れると象牙質の下の歯髄(=歯の神経、核となる部分)が露出しています。歯髄には血管、神経の管が含まれていますので冷たいものが「しみる」よりも強いズキズキする痛み(自発痛)が起きます。

 

治療

知覚過敏に対しての治療

象牙細管の穴に専用の薬を塗って感覚をにぶらせたり、コンポジットレジンで削れている部分を覆う処置を行います。

 

歯髄炎に対しての治療

歯髄炎が起きた場合はばい菌感染も起こしており、基本的に神経をとる処置をしないと痛みがとれません。
根っこの治療(根管治療)を行い、かぶせをするという回数のかかる治療になります。

予防と対策

原因をしっかり追究し、それによる予防・対策を行っていく必要があります。
今回は歯ブラシが原因による摩耗症に対する予防と対策法に限定して書いていきます。
大切なことは「正しいブラッシング方法」で歯を磨くことです。

使っている歯みがき粉の確認

もし、歯科医院で磨耗症を指摘されたら使っている歯みがき粉を確認しましょう。
知覚過敏用の歯みがき粉ならば粗い研磨剤も入ってはいないでしょうし、むしろ象牙細管の穴を埋めてくれる成分が入っており、知覚過敏に効果のあるものがあります。

歯ブラシの持ち方

グーの形で持つ持ち方(パームグリップ)は力が入りすぎてしまうことが多いので、鉛筆持ち(ペングリップ)に変えましょう。鉛筆持ちの方が歯ブラシを細かく動かせますし、力のコントロールがしやすいです。わからない場合はお気軽に衛生士にお尋ねください。

歯ブラシの硬さ

歯ブラシの硬さは基本的には「普通」を用いましょう。それでもしみたり、改善しづらい場合は歯ブラシの硬さを「やわらかめ」に変えてしまいましょう。

力の強さ

歯ブラシの力の強さは、150~200グラムが理想だと言われています。

 

 

アブフラクション

噛み合わせの力が強いと、歯と歯ぐきの境目にかかりエナメル質と象牙質が削れていきます。部位は犬歯と小臼歯によく見られます。(=くさび状欠損)
くさび状欠損の原因は今まで「間違ったブラッシング」が原因とされていましたが、最近ではアブフラクションによって起こっているのではないかと言われています。

原因

歯ぎしり、食いしばりなどにより歯と歯ぐきの境目のエナメル質に力が加わることによって起こります。

治療

対処療法としての治療

くさび状欠損の部分が冷たいものなどでしみたり症状がある場合に限り、削れてしまった部分をプラスチックの材料を使って被覆します。(コンポジットレジン治療)
しかし、対処療法だけを行ってしまうと食いしばり・歯ぎしりによる力の負担は変わらないので、短期間でコンポジットレジンが外れてしまう事が多いのです。

根本的原因に対しての治療

夜間の歯ぎしり・食いしばりに対してマウスピース(ナイトガードとも呼ばれます)を装着することで、歯にかかる力を軽減させます。

 

 

以上2回にわたってTooth Wearについてお話しをさせて頂きました。
むし歯以外でもしみたり、痛みがでたりという症状が起こり得ます。気になることがあればお気軽に歯科医院にご相談ください。

 

前回のブログはこちら:『ばい菌以外で歯がだめになってしまう!?Tooth Wearって。。。』

予防治療ページはこちら>>

 

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