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根管治療

まだ抜歯は早い?!歯根端切除術について

2021.04.14

根管治療

 前回は根っこの治療が終わったあとに神経の代わりになる材料の1つ、MTAセメントについてご紹介しました。根管治療が終わって根管充填を行っても治癒しない場合、すぐに歯を抜くのではなく外科処置を行い歯の保存を試みます。今回は根管治療後に行う外科的歯内療法の中でも歯根端切除術についてご紹介していきます。

 

歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)

根管治療を行っても、根っこの先に膿の袋が残ってしまう場合があります。根管治療には限界があり、すでに根管治療を行われている歯にもう一度根管治療を行っていく場合、治療の成功率は約60〜70%です。つまり根管治療=根っこの中からのお掃除には限界があるのです。

根っこの外まで細菌の感染が及んでいたり、根っこの中でも掃除が行き届かないところに細菌が残ってしまうと根管治療だけでは治りません。そこで行うのが歯根端切除術という外科処置です。

歯根端切除術は歯茎を切開して直接病巣をお掃除する方法で、お掃除とともに根っこの先数ミリを切断します。歯の根っこの中の管は複雑に枝分かれをしていて、根管治療でお掃除が行き届かない場合があります。この枝分かれが根っこの先3mmに約97%の確率で存在するというデータが有るために、根っこの先を3mmほど切断していきます。

 

逆根管形成・逆根管充填(ぎゃくこんかんけいせい・ぎゃくこんかんじゅうてん)

歯根端切除術で根っこの先数ミリを切断して、病巣をお掃除したままでは治る確率は高くありません。そこで成功率を高めるために行われるのが、逆根管形成・逆根管充填です。根管治療で根っこの上の方からお掃除をして、最終的にお薬を詰める(根管充填)処置を行います。しかし、根っこの形は複雑であるので、根っこの先の方でお掃除ができていない箇所がある場合がほとんどです。

そこで根っこの下の方からお掃除(逆根管形成)をして、根っこの先の方からもお薬を詰めていきます。(逆根管充填)このように治りが悪い原因を徹底的に除去していきます。逆根管形成・逆根管充填は歯根端切除術と必ずセットで行っていきます。

 

成功率について

ここまでお伝えしてきた外科処置は、実は以前からも行われていました。しかし従来の方法と現在の方法では成功率にかなりの差があるというデータがあります。

従来の方法の成功率 約60%

現在の方法の成功率 約90%

この差はマイクロスコープと呼ばれる歯科用の顕微鏡を使うか否かによって生み出されていると言われています。

 

マイクロスコープ

 マイクロスコープを用いることで最大20倍まで拡大して歯を観察することができます。マイクロスコープを使用するとこれまで肉眼や拡大鏡では確認できなかった歯の亀裂やお掃除できていない根管の様子がより詳しくわかるようになりました。特に歯の中の根っこの管の形や本数は人それぞれです。また、根っこの先の方では大きな管から細かな管が枝分かれしています。少しでも歯の根っこの管の形態を知ることが出来ることで、治りが悪い原因を特定することができ、治療の成功率が上がるのです。

CT

 当院には、一般的なレントゲンだけでなくCTという3次元的に撮影できるレントゲン機器も導入しています。一般的なレントゲンだと平面的にしか見ることができません。しかしCTであれば治療が必要な歯を、様々な方向から観察することができます。具体的には歯の根っこの長さや形態、どの根っこに膿の袋が出来ているのかをより詳細に精査することが出来るのです。

 

マイクロスコープとCTの併用

 当院では、平面的なレントゲン画像では状態が把握できない時にCTを撮影し情報を少しでも多く集めた上で、マイクロスコープを使用して目視で確認をしながら治療を進めていきます。どんな状態やどんな治療の時に使用するのか一例をあげていきたいとおもいます。

適応症例

・根管治療をしたがレントゲン写真で膿の袋が残存するとき

・根管治療しているが痛みや腫れがおさまらないとき

・歯根が曲がっていたり根の先が閉鎖されていて、根管治療の器具が根管の先にまで届かないとき

・根管の壁面に人工的に穴が開いてしまっているとき

・保険外の被せものが入っていて患者さんが除去を望まないとき

・根管治療の時に使う神経の代わりの材料が根の先から出てしまって感染源となっているとき

・大きすぎたり長すぎる土台(コア)が入っているため、コアを外すと歯が割れる恐れがあるとき(歯の割れ方や割れた場所によるが歯が割れ場合は抜歯になる場合がある)

このようなときに歯根端切除術を行います。

 

ここまで歯根端切除術について述べてきましたが、根管治療はある程度にして最初から歯根端切除をすればいいのでは?とお思いの方がいるかも知れません。しかし、歯根端切除は外科処置なので根管治療に比べると侵襲が大きくなってしまいます。まずは質の高い根管治療を行い、それでも治らない症例に対して歯根端切除術などの外科処置を行っていくのです。

 

根管治療を行っても症状が引かない方や、保険外のかぶせものを入れて間もないのに症状が再発してきたという方はお気軽にご相談ください。

 

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